家庭の防災備蓄、何をどれだけ?——元日の地震のあと、雪国の我が家が実際に見直したもの

はじめに(結論から)

防災備蓄のリストは、検索すればいくらでも出てきます。この記事が他と違う点は一つだけ。私の家は、北陸の真冬の元日に大きな地震を実際に経験したことです。

能登半島地震。私の住む北陸の住宅地も長く強く揺れました(そのときの話はこちらの記事に書きました)。幸い我が家に被害はなく、ライフラインも止まりませんでしたが、翌日から備蓄を総点検することになりました。そこで分かった結論を先に書きます。

一般的な備蓄リストは「季節」を想定していません。雪国の災害対策は「真冬の停電」を基準に組まなければ、効果は半減です。

仮に地震の影響で停電すれば、エアコンもファンヒーターも止まります。外は氷点下。断水より先に、まず寒さが問題になります。この記事は、その前提で組み直した我が家の実物リストです。

【家長メモ】
能登半島地震の時は幸いライフラインが止まりませんでしたが、備蓄していたカセットコンロ用のガスは2缶しかありませんでした。カセットコンロ買って満足してたんですね。あとは水のストックも全然足りませんでした。震源に近い地域は断水が続いたので、飲み水だけでなく、生活用水も含めてもっと大量に備蓄すべきした。

考え方:リストの前に「前提」を決める

物を買う前に、3つだけ決めます。我が家の場合はこうでした。

  1. 在宅避難が基本。持ち家・戸建てで、家が無事なら避難所には行かない(地方なのでそもそも避難所が遠い)。よって備蓄は「持ち出し袋」より「家で1週間暮らす」に比重を置く
  2. 最悪シナリオは「真冬・停電・断水が1週間」。夏の想定より要求水準が高いので、これで揃えれば夏もカバーできる
  3. 家族の人数×7日で計算。持ち出し袋だけ3日分

【家長メモ】
ウチは子供がまだ小さいので、避難所での生活がうまくできない可能性があります。プライバシーも確保できませんし、我が家は自宅が大きく損傷しない限り、在宅避難を選ぶことにしています。

我が家の実物リスト

熱源・暖房(点検してみて一番不安な項目)

先に白状します。総点検の結果、ウチの最大の弱点は熱源・暖房でした。ウチの暖房はエアコンのみ、つまり電気が前提です。ウチはオール電化なので、風呂や台所のお湯を作っているのも電気です。地震が来ても幸い停電しませんでしたが、もし止まっていれば、氷点下の夜に我が家の暖房やお湯なしで過ごすことになります。

本当は電気なしで動く石油ストーブが欲しいところですが、子供ががやけどすると危ないということ、火災の心配が……などの理由から、奥さんからストップがかかっています。もし幼いお子さんのいないご家庭であれば、石油ストーブを1台は用意したほうがいいと思います。

その前提で、冬の停電を生き延びるための熱源の構成はこうなります。

品目目安量冬の停電での役割我が家
カセットコンロ+カセットガスガス12本〜調理と湯たんぽ用の湯。1本で約60分。冬は消費が倍速12本ギリギリ。もっと買い足したいが置き場所が厳しい。
石油ストーブ(電源不要の対流型/反射型)灯油18L×2缶電気なしで部屋全体を暖められる唯一の現実解。上で湯も沸く我が家はオール電化なので灯油の備蓄がない
湯たんぽ人数分電気毛布の代替。燃料の消費を夜間ゼロにできる未購入だけど次の追加リスト
使い捨てカイロ30個〜消費期限が長く、持ち出し袋にも分散あえて貼らないカイロを購入

雪国にお住いの皆さんにいちばん伝えたいのはここです。暖房の主役がエアコンでも、電源不要の熱源を1系統だけ残しておくこと。我が家はそれが無いまま真冬の地震を迎えました。停電しなかったのはたまたま運がよかっただけ。オール電化なので、石油ストーブをそろえるのはちょっと厳しいですが、将来的に状況が変化すれば記事を更新します。

水と食料

品目目安量(4人・1週間)メモ
飲料水2L×42本(1人3L/日)冬は融雪用の水は使えても飲めない。飲料水は別枠。ウチでは長期保存用軟水を購入
ウォーターバッグ10リットル用10リットルの水をためておけるウォーターバッグを購入
無洗米+レトルト・缶詰米5kg+主菜21食分「非常食」を買うより普段の食品を多めに回す(ローリングストック)
クラッカーなど日持ちする菓子28箱(1人1箱/日)これもローリングストック
カップ麺・フリーズドライ適量湯だけで完結する物は冬の災害と相性が良い。最悪水でも調理可能

電気と情報

品目目安メモ
モバイルバッテリー大容量2台〜家族のスマホ2回分×人数
ポータブル電源あれば便利かなり高額でまだ手が出ないが、いつかは揃えたい。
LEDランタン+ヘッドライト各2個ろうそくは地震後の火災リスクがあるので使わない
乾電池単1〜単4各1パックストーブの点火・ラジオ用に単1が意外な盲点

水回り・衛生

品目目安メモ
簡易トイレ1人5回/日×7日=140回分備蓄の最大の盲点。断水で最初に困るのは飲み水ではなくトイレ。
オムツ(必要なら)1週間に1パック普段使い用にプラス1パック。成長を見越して1サイズ大きく買ってもOK
ウェットティッシュ・体拭き大判3パック断水時の入浴代替。ローリングストックで、日常使いしつつ補充していく
ラップ・ポリ袋各3本/箱食器に被せて洗い物ゼロに

雪国・車の備え

品目メモ
車のガソリン常に半分以下にしない。冬の地震では車が「動く暖房付き避難室」になる
車載毛布・スコップ・長靴雪道での立ち往生対策と兼用

地震の翌日に見直して分かった「リストに載らない3つ」

  1. 量より「置き場所の分散」。玄関が塞がれたら取り出せない備蓄は無いのと同じ。1階と2階、家と車に分ける
  2. 家族の「集合ルール」は物より先。子供だけで在宅時にどうするかは地震時の記事に書いた通り。物を買う前に、紙1枚のルールを冷蔵庫に貼る
  3. 消費期限は「防災の日」ではなく正月に確認する。我が家は元日の地震がきっかけで、毎年正月に点検する習慣になりました。理由が理由なので、忘れません。年末年始の休暇中でもあり、時間も取りやすいです。

【家長メモ】ローリングストック、といいつつ処分する日を忘れて、水や食品が期限切れになってしまうことがあるので、Googleカレンダーにリマインドを入れたり、紙のカレンダーに書いて目に付くようにしておく。

まとめ

  • 雪国の備蓄は「真冬の停電1週間」を基準に組む。夏基準のリストでは足りない
  • 生命線は熱源。電源不要の石油ストーブ+カセットガス+湯たんぽの三段構えが目標
  • 最大の盲点は簡易トイレ140回分と、車のガソリン半分ルール
  • 完璧なリストより、置き場所の分散と家族ルールの紙1枚
  • 点検日は正月に。我が家はもう忘れられない日付になった

よくある質問

Q. 何から買えばいいですか?全部は無理です。 A. 冬基準なら優先順位は明確で、①熱源(カセットガス・カイロ) ②簡易トイレ ③飲料水 の順です。食料は普段の買い置きを多めに回すだけでも初動として機能します。

Q. ポータブル電源は必要ですか? A. あれば強力ですが高価です。「スマホと照明が1週間持つ」だけならモバイルバッテリー複数で代替でき、暖房は電源に頼らない設計(石油ストーブ)のほうが確実です。優先度は熱源・トイレ・水の後で構いません。

Q. 賃貸・オール電化で石油ストーブが使えません。 A. カセットガスストーブ(屋内用)が現実的な代替です。ただし換気と燃料消費のペースに注意。カセットガスの備蓄本数を戸建ての倍(24本〜)に増やすことをおすすめします。

Q. 車のガソリン半分ルールはなぜですか? A. 災害直後はスタンドに長蛇の列ができ、給油制限もかかります。冬の停電時、車は暖房・充電・情報収集を兼ねる避難室になるため、燃料の残量がそのまま安全余力になります。

令和の家長

宅地建物取引士 / 富山県在住 / 町内会班長 経験あり

富山で家を持ち、子を育て、班長も回ってきた宅建士。誰も教えてくれないのに、やらなければならない家の実務を、自分で調べて失敗した順に書いています。

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